突然、南が俺の髪に触ってくるのはもう何て言うか日常茶飯事で、慣れてしまっている俺もどうかと思うけど、ふわふわと触っているあいだは何か思案しているような表情で。俺の髪に触れながらそんな真剣な顔をする南は嫌いでない。いや、真剣な顔してなくったって好きなんだけどね。 「なあ、千石」 「ん?…って何!いたいよみなみ!」 いつもいつもゆるゆると触れていた手が、名前を呼ばれたのと同時に強く引かれる。その声が優しかったから余計に、気を抜いていた俺は痛覚に弱く、それはもう涙が出るほどで。しかしうるうるした瞳を向けても南は変わらず真剣な、というより寧ろ興奮しているような…え?何に? 「食べれそうじゃねえ?」 「はあああッ?!」 「いや何か、美味しそうな色…」 「待って待って待って!やめてみなみ!」 俺の頭を(ていうより髪を)引っ張って、顔を寄せて。そのさあ、興奮してるって顔は好きだよ、でもさあ、それが俺の髪の所為だと思うと、萎えるとまでは言わないけどちょっと…とか何とか思ってるうちに南はぱかっと口を開けるし、わーわーわーちょっとほんとにタンマ! 「代わりにちゅうしよ!」 「なんでだよ」 「こっちのが美味しいよ!」 「ばかか」 んー!と唇を突き出して必死に頭を振ったら、取り敢えず髪は解放された。髪は美味しそうなのに俺とのちゅうはだめなのか。ていうか髪と引き換えにキスってさあ…思ってたら、ちゅ、って。 「…やっぱり髪の毛の方が…」 「まっ、待って南、比べんのやめてよ!」 ちゅうされた。びっくりした。あーでも、今のって髪の毛とどっちが旨いかなって思っただけでしょ?髪食べてみる前に確認しただけでしょ? そうして俺は、頭から齧り付かれるのを回避しながら半ば取っ組み合いで、呆れた亜久津に見付かるまで延々ぎゃあぎゃあとする羽目になった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 高助さんが楽しいものを提案してくれたので考察ついでに殴り書き2 20050718 |